毎日学校に通う必要がなく、自分のペースで学習を進められることに強みを持つ通信制高校。
一方で、「自分は通信制高校でうまくやっていけるのかな?」「通信制高校に行くと、普通の高校に通うよりもよくないんじゃないかな?」など、不安を抱える生徒様・保護者の方も多いのではないかと思います。
今回は、通信制高校の特徴や、メリット・デメリットについて解説します。通信制高校への入学・転入を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
通信制高校とは?
通信制高校とは、教室に通って集団で授業を受ける全日制課程・定時制課程とは異なり、パソコンやタブレット・スマホなどの通信機器や、郵送の教材を活用して、自主学習を中心に単位取得を目指す高校です。一般的な全日制の高校と異なり、通信制高校では学校に毎日通う必要がなく、自宅で学習を進め、レポートやテストを送信・郵送することで、単位を取得します。
より詳しく通信制高校について知りたい方は、ぜひこちらの記事もご確認ください。
通信制高校のメリットとは?
では、全日制などの通常の高校と比較して、通信制の高校にはどのような強みやメリットがあるのでしょうか?
1.自分のペースで学習を進められる
通信制高校の一番の強みは、自分のペースで学習を進められることです。毎日学校に通学する必要がなく、普段勉強する時は自分の好きな時間に、好きなペースで、自主学習中心で学習を進めます。
2.自由な時間が多い
通信制高校では、スクーリングを除き基本学校に通う必要がないため、通学にかかる時間がありません。また、レポート提出・テスト受験以外の時間は自由です。
アルバイトをしてお金を貯めたり、趣味や特技をプロレベルまで極めたりなど、通常の高校生ではなかなか実現できない学生生活を送ることができる可能性もあります。また、芸能界やスポーツなど、多忙で学校に通うのが難しい生活をしている生徒さんにも、通信制高校は向いています。
3.生徒1人1人に合った指導ができる
通信制高校は、いじめや不登校などを経験していた生徒や、病気・障害があって学校に通うのが難しい生徒、何らかの事情で高校に行くこと・卒業することができなかった生徒など、さまざまな境遇・経験の人が通っています。こうした人たちも含め、全ての生徒が楽しく学び、卒業できるようサポートしていくのが、通信制高校の使命です。このため、通信制高校では、生徒一人一人の性格や学習状況、生活環境に合わせて、適切な学習計画・生活アドバイスを実施します。
スクーリングでの面談など、通常の学校よりも先生が一人一人にじっくりと向き合うことができる時間も多く、より適切なアドバイスが期待できます。
4.入学や転入・編入がしやすい
一般的に、高校入試では3科目または5科目の入学試験が科されますが、通信制高校では入試科目が面接と小論文だけ、という学校も少なくありません。その通信制高校で勉強したい、充実した学生生活を過ごしたい、という熱意を見せれば、学力が不十分でも入学できる可能性が十分あるのは、通信制高校の利点の一つでしょう。
また、通信制高校では転入のシステムを整えており、1年中転入を受け付けている学校がほとんどです。
また、先述しましたが、通信制高校ではさまざまな悩みを抱えた人が勉強できる環境・システムが整っています。一般的な高校では転入が難しい場合でも、通信制高校では生徒を迎え入れることができる、というケースもよく見られます。
5.留年しにくい
通信制の高校の多くは、学年制ではなく単位制を採用しています。1年ごとに進級要件がある学年制と違い、単位制では3年間で74単位を取得すれば卒業ができます。単位制では74単位をどんなペースで取るかは自由ですし、進級要件もないため、理論上3年生までは全員自動で進級できます。
また、通信制高校では病気や怪我、障害などで学校に通うのが難しいという生徒でも、他の生徒と同じ3年で卒業できるようにするサポート体制が充実しています。面談やカウンセリングなども設けられており、一般的な高校と比較して、3年間で卒業しやすいシステムが整ってると言えるでしょう。
もちろん、それでも学習環境が合わず3年では卒業できなかった、というケースや、逆に進学・就職する前に課外活動やアルバイト、留学を経験するためあえて留年する、というケースもあります。
通信制高校のデメリットとは?
ここまで、通信制高校の強みや、通学するメリットについてご紹介してきました。
では逆に、全日制などの通常の高校と比較した際の通信制高校のデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?
1.学習のペースを自分で決定する必要がある
通信制高校には、3年間で74単位を取得する、というゴールがありますが、基本的には学習量や学習ペースを自由に設定することができます。一方でこれは、自分で計画的に学習計画や単位を取るスケジュールを考えなければいけない、ということでもあります。
また自由な時間が多いことも、場合によってはデメリットとなります。時間を計画的に、有意義に活用できるよう意識しないと、勉強している内容がなかなか身に付かなかったり、時間をダラダラと浪費してしまったりするかもしれません。通信制高校では、一般的な高校と比較して、計画性や自立性がより求められるでしょう。
ただし、通信制高校では、スクーリングでの面談やカウンセリングなど、勉強計画や卒業までのスケジュールに先生からアドバイスをもらえる機会も充実しています。
2.同学年の友達をたくさん作ることは難しい
通信制高校では通学の必要がなく、また1学年の生徒の規模が小さい、という特徴があります。そのため、同学年の友達をたくさん作る、ということは、一般的な高校に通うのと比較して難しくなる可能性があります。
その一方で、通信制高校にはさまざまな年齢や境遇の、個性豊かな生徒が通っていることが多いです。一般的な高校に通うのと比べて、関われる同級生の人数はやや減ってしまうかもしれませんが、その代わり、通信制高校ではこういった個性豊かな生徒と課外活動を通じて仲良くなれる、という面もあります。
3.大学受験をする場合、対策が難しくなる場合がある
通信制高校では全生徒の単位取得に力を入れており、いわゆる「受験指導」にはあまり力を入れていないケースもあります。そのため、生徒が大学進学を希望する場合、自力で、もしくは学習塾を活用する必要性が、一般の高校と比べて高くなることがあります。また、通信制高校では1学年の人数が一般的な高校と比べ少なくなりがちなため、特に大学進学に関しては学校側にノウハウが十便には蓄積していない、というケースもあります。
しかし、通信制高校に通うと自由な時間が増えるので、その時間を勉強時間に充てることができ、大学受験にプラスだ、という捉え方もできます。近年では大学への進学実績をPRする通信制高校も増えています。計画性を持って行動すれば、通信制高校がマイナスの選択肢になることはなく、どのような選択肢でも選ぶことができるでしょう。
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