不登校でも出席扱いになる?文科省の出席扱い制度ってどんな制度?

学校に通うのが難しい状態でも、「出席した」と認めてもらえる「出席扱い制度」

文科省が定めた「不登校」の条件といくつかの条件を満たせば、学校外での活動を学校での評価につなげることができます。

興味があっても「自分の子どもは当てはまるのかな」「どうやって手続きをすればいいんだろう」と不安に思う方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、出席扱い制度を使える条件や、実際の手続きの方法、使う上での注意点をまとめています。

「不登校でも進学や卒業を諦めたくない」

「学校外での頑張りを出席として認めてほしい」

という方はぜひ続きをご覧ください。

目次

出席扱い制度が適用される「不登校」の定義

出席扱い制度が適用されるには、まず文科省が定めた「不登校」の定義を満たす必要があります。

資料「不登校の現状に関する認識」では、不登校についてこのような定義がされています。

何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの

参考:文部科学省「不登校の現状に関する認識」

少しややこしいので、具体的なケースを紹介します。

不登校として扱われるケース

  • 人間関係の悩みやストレスで、学校を休んでいる
  • 勉強についていけないことがきっかけで、休みがちになった
  • 病気やけがで長く学校を休んだことで、学校に行けなくなってしまった

不登校として認められないケース

  • 病気やけがで30日以上欠席してしまった

年間30日以上欠席している場合、一部のケースを除いて「不登校」に当てはまる場合が多いと思います。

しかし「病気」や「けが」、「身体的な障害」を直接の理由とする欠席は「病欠」になり、不登校としてカウントされないこともあるのです。

ケース別。不登校でも出席扱いになるための条件

繰り返しになりますが、出席扱いの制度を受けるには「不登校」の定義を満たし、いくつかの条件を満たす必要があります。

ここでは制度を受けるために必要な条件について紹介していきます。

(要約・言い換えをしているので、詳しく確認したい方は参考にしている文科省の資料をご覧ください)

①学校外の施設で指導を受ける小中学生の場合

小中学生が学校外の施設で指導を受ける場合、この3つです。

(1)保護者と学校との間の十分な連携・協力関係があること

(2)支援しているのは、適応指導教室等の公的機関や適切と判断された民間施設であること

  ※民間施設の場合は、校長と教育委員会による判断が必要

(3)公的機関や民間施設に通っている、もしくは相談・指導を受けていること

(4)学校外での学習が適切と判断される場合、教師は評価を指導要録に記入したり、結果を生徒や保護者、施設に伝えるようにすること

参考:義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指

導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて

小中学生の場合でも高校生と同様、指導を受けるのは公的機関もしくは認められた民間施設である必要があります。

高校生にはなかった(4)の条件が追加されて先生の業務も多くなるため、制度が適用されづらいケースもあります。

出席扱い制度には学校の承認や学校との連携が重要になってくるため、しっかりコミュニケーションを取りながら進めていきましょう。

②オンラインの教材で学習する小中学生の場合

オンラインで学習を進める時は、こちらが条件です。

(1)保護者と学校との間の十分な連携・協力関係があること

(2)コンピュータやインターネット,遠隔教育システムなどや郵送,FAXなどを活用して提供される学習活動であること

(3)訪問等による適切な対面指導を前提とすること。

(4)生徒の学習の理解度を踏まえた学習プログラムであること。

(5)校長は、担任や保護者からの連絡を通して、指導や学習の状況について十分に把握すること。

(6)オンラインでの学習活動が認められるのは、基本的に自動が学外の公的機関や民間施設での相談・指導を受けられない場合であること。

(7)学習活動の成果を評価に反映するために、学習計画や内容が学校から適切と判断される必要があること。

参考:文科省「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指

導要録上の出欠の取扱いについて」

オンラインで学習を進める場合、学外の公的機関、民間施設の利用に比べると少し決まりごとが多くなっています。

学校側から学習内容や計画に関して「適切かどうか?」という判断が必要になるため、こちらもコミュニケーションを取りながら進めていきましょう。

③高校生の場合

はじめに紹介するのは、高校生の場合。

高校は義務教育ではないため、小中学生とは少し条件が異なります。

出席扱いになるためには、文科省の定める3つの条件が必要です。

(1)保護者と学校との間の十分な連携・協力関係があること

(2)支援しているのは、適応指導教室等の公的機関や適切と判断された民間施設であること

  ※民間施設の場合、校長が教育委員会と連携して判断する必要あり

(3)公的機関や民間施設に通っている、もしくは相談・指導を受けていること

参考:高等学校における不登校生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の対応について

この3つが認められた場合、学校外での学習が出席として認めてもらえることになります。

フリースクールなどの民間施設に通う場合、スムーズに制度の適用を進めるため、

「出席認定をしてもらえることは可能か?」

「文科省の定める民間施設についてのガイドラインを満たしているかどうか?」

を事前に確認しておくとよいでしょう。

ただし、高校を卒業するためには出席日数だけでなく、単位の取得も必要です。

単位を取得するには、テストを受ける以外にもオンライン上での単位認定や高卒認定試験を通した単位認定を行ってくれる場合もあります。

学校によって対応が異なるため、担任の先生や頼れる先生に確認してみましょう。

出席扱いにしてもらうための手続き

①出席扱い制度が適用可能かどうか確認

まずはこの記事や文科省の資料をもとに、お子さんが出席扱い制度を適用してもらえるかどうか、確認しましょう。

②担任の先生に相談

次に担任の先生に出席扱い制度を適用してもらいたい旨を説明しましょう。

担任の先生が出席扱い制度について詳しくない可能性もあるため、先生に制度の説明をできるよう知識と心の準備をしておくと良いですよ。

また学校によっては「前例がない」「制度についてよく知らない」という理由でなかなかスムーズに手続きが進まないケースも、残念ながらあります。

粘り強くコミュニケーションを進めること、先生に理解してもらえるよう説明の準備をすることが必要になると思っておきましょう。

③学校側での協議

制度を適用するには学校側の承認が必要になってくるため、担任の先生に了承してもらえた後は、学校側での協議があります。

学校や先生によっても対応が異なるので、指示に従いながら結果を待ちましょう。

④制度の適用スタート

学校からの承認がもらえ次第、オンライン学習やフリースクールでの学習など、申請した形での学習がスタートします。

基本的には学校や先生に学習の経過を共有する必要があるため、制度が適用となった後もコミュニケーションを取っていきましょう。

出席扱い制度を活用して、自分に合った形で学校と付き合おう

今回は出席扱い制度について紹介しましたが、いかがでしたか?

この記事が「自分にあった方法で学校と関わりたい」という方のお力になれれば、幸いです。

参考文献

文部科学省「不登校の現状に関する認識」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/futoukou/03070701/002.pdf

文部科学省「高等学校における不登校生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の対応について」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/1309943.htm

文部科学省「高等学校の卒業に関する法令」https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo1/002/gijiroku/04040902/003.htm#top

文部科学省「民間施設についてのガイドライン」 https://www.mext.go.jp/content/1422155_004_2.pdf

文部科学省「高等学校の全日制課程及び定時制課程における不登校生徒に対する通信の方法を用いた教育による単位認定について」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/1309986.htm

文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方につい https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm

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